いなくなる
隆志の言葉に、どこか納得できない雅樹であった。


隆志は、構わず話を続けた。


「あいつが言うには、早退した奴らは全員、はしかの予防接種をしてなかったそうだ」


「・・・だから塩田たち最初の5人が発病したから次々と感染したと・・・?」


答えを素早く見つけ出し自分の意見を言う雅樹に、いつもの調子が戻ってきたようだと
思いながら、隆志は話を続ける。


「感染したというのは、ちょっと違うかな・・・?」


「・・・違う・・・?」


少し得意げに話している隆志を見て、幹男は隆志が雅樹に対して優越感を持ちながら話していると思った。


隆志が、正しい答えを言おうとした瞬間、雅樹が答える。


「そうか!はしかは感染しても潜伏期間があるから、すぐには発病したりしない」


「・・・うっ・・・えっ・・・!」


隆志は、自分が言おうとした言葉を先に雅樹に言われてしまい、言葉を詰まらせてしまう。



その隆志の表情を見て、笑いをこらえる幹男。

・・・やっぱりそのほうが隆志らしいな・・・

幹男は、心の中でつぶやいた・・・




雅樹の思考は徐々にいつものように冷静に判断できるようになってきた。



・・・つまり、残りの20人は何日か前に既に感染していて今日発病した・・・?



・・・でも・・・そんな、偶然ありえるのか・・・?
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