いなくなる
「・・・いや、稔が寝ていた事はどうでもいい!」


「・・・へっ?・・・・」


自信満々に言い返した言葉を、雅樹にどうでもいいと言われ唖然とする幹男。


・・どうでもいいって・・・?


茫然自失になっている幹男を無視するように、隆志に向かって雅樹が聞いた。


「・・・稔が、はしかを発病したと言ったのもアイツなのか?」


「えっ?・・・あぁ、そうだけどなんで・・・?」


「稔は、子供の頃に既に、はしかにかかっているんだよ!」


「えっ!マジで?」


「あぁ、間違いない!俺が、はしかを発病したのも稔にうつされたからなのだから!」


「本当かよ・・・?」


雅樹の発言に、自分が納得した事実が打ち壊れていくのを感じる隆志。


雅樹は、稔の携帯に電話をかけてみた。


携帯の呼び出し音が耳元に鳴り響く。


「あっ!稔か?」


雅樹がそういうのと同時に、携帯からつながらないというメッセージが流れた。


何度も稔の携帯にかけ直す雅樹。


しかし、つながらない・・・・


「隆志と幹男もかけてくれ!稔だけでなく早退した奴らの誰でもいいから!」


「あぁ、解った!」


隆志と幹男は、慌てて自分の携帯から電話をかけてみる。


三人は、いなくなった生徒達の知っている電話番号へと次々にかけてみた。



・・・しかし、誰一人携帯に出るものはいなかった・・・


「・・・だめだ、誰にもつながらない・・・?」



「こっちもダメだ、全然つながらないぞ?」


「こちらも、ダメ!」


こんなことがありうるのだろうか?


いくらはしかを発病したとしても20人のうち、誰か一人ぐらい携帯にでてもおかしくないのに・・・?
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