いなくなる
学校を出て帰宅途中のバスの中、利沙は美奈に問い掛けてみた?


「・・・ねぇ美奈、さっきは何であんなにD組の教室を覗き込んでいたの?」

「雅樹くんを探していたとか・・・?」

利沙の突然の質問に、ドキリとする美奈。

「いないよー! 雅樹くんは、いなかったよ―!」

「・・・あんたって、本当に解りやすいね・・・」

美奈の反応にあきれる利沙。


「よし!今度、隆志に頼んで雅樹くんとデートできるようにしてあげるか」


「本当にー!」


美奈は、飛び跳ねるように利沙にすがりついた!


「わっ!ビックリした。あんた反応早やすぎだから」


「絶対!絶対!絶対だよ!」


「わ、解ったから。本当にあんたは、解りやすい性格ね!」


照れ笑いをしながら、美奈が何かを、思いついたように言った。


「もちろん、雅樹君とデートできたら利沙もついて来てくれるよね?」


思いもよらない美奈の発言に驚く利沙!


「な!なんで私が美奈のデートについて行くのよ?おじゃま虫でしょ?」


得意の屈託の無い笑顔を利沙に向けて、またまた驚くことを美奈は言った。


「だから、利沙も幼馴染君とデートすればいいでしょ?」


「な!なんであたしが隆志のバカとデートしなければならないのよ!」


真っ赤な顔をしている利沙の手を握り締めて美奈が懇願する。


「お願い!私、雅樹君と二人きりだと緊張して失敗しちゃうかもしれないから!」


利沙は、戸惑いながらも心の中で思っていた。

・・・もう雅樹君とデートするのは決定なんだ・・・!


いつもは、おっとりしている美奈なのだが、なぜか恋愛に関する事だけは積極的になる。


こうなった時は、利沙は美奈のペースに飲み込まれていってしまう。

「わ、解ったから。でも!私と隆志のバカとはデートじゃないからね!」

「うん」

「あんたと雅樹君のデートに付き添うだけなんだからね!」

「うん。うん。」

「・・・美奈・・・あんた本当に解ってんの・・・?」

「うん。雅樹くんと、デートできるって事だよね?」

「・・・美奈、あんたって子は・・・」
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