いなくなる

「この英文がどうかしたの？」


「・・・あのね・・・」


なぜか、少し小声で話しだす美奈？


「・・・なに・・・？」


利沙もつられて小声で答える。


「・・・誰もいないＤ組の教室の黒板にね・・・」


「・・・黒板に？」


「・・・その英文が、大きく赤い文字で書かれてあったの・・・？」


「・・・この英文が・・・？」


「・・・うん」


「・・・大きく？」


「・・・うん」


「・・・赤い文字で？」


「・・・うん」


「・・・この英文がね・・・？」


「・・・うん、その英文が？」



利沙は、訳も解らないまま、その英文を読みあげてみる・・・


そして、誰もいないＤ組の教室の黒板に、何故こんな英文が書かれていたのか
今度は、利沙が美奈の存在を忘れ考え込んでしまった・・・？



英語の苦手な美奈は、取り残されたような気持ちになり利沙に聞いた。


「・・・ねぇ利沙、英文の意味教えてよ・・・？」


しばらく考え込んでいた利沙だったが、美奈に催促され小声で答え始める。



「・・・この英文の意味はね・・・？」



「・・・意味は・・・？」



「・・・簡単にいっちゃうとね・・・？」



「・・・言っちゃうと・・・？」





利沙が、再びその英文と言葉の意味を読み上げる・・・


「Ｉ ｒｅａｌｌｙ ｅｎｊｏｙｅｄ ｔｈｅ ｍｅａｌ.Ｔｈａｎｋ ｙｏｕ」


「・・・ごちそうさま・・・」




「ごちそうさま・・・？」



「そう、ごちそうさま」



「なんで黒板に、ごちそうさまなんて書いてあったのかな？」