風にのせて君へ
それから、センパイは私を睨みつけて
『よけいなことを言いやがって』
と言う顔をした。
私は困った顔をして、口パクで
『いいじゃないですかー』
と返した。
そんな私たちに気づかず雪先輩は今気づいたのか私に言った。
「そう言えば、あなたの名前聞いてなかったよね?」
なるべくなら、名前を言わずに過ごしたかったんだけど……。
私は小さな声で言った。
「星野……デス……」
「名前は?」
おー、さすが鋭いです。雪先輩。
ここで言わないのは、無しだよね……。
私はさっきよりもさらに小さい声で言った。
「乙冬(オト)、です……」
「可愛い名前じゃーん」
雪先輩はひゅーひゅーとちゃかす。
その一方でセンパイはなるほど、と言った。