風にのせて君へ
音と胸の鼓動の関係
「奏センパーイ! ピアノ弾いてくださいよ!」
昼休みに図書室にいた奏先輩に私は早速かみついた。
奏先輩はしっしと虫を払う手つきをして言った。
「だから弾かねえって言ってんだろ」
「なんでですか。あんなに上手かったじゃないですか!」
奏先輩はちっと舌打ちをして、
「うっせえな。弾かねえっつってるだろ」
いやーん、奏先輩。
仮にも、
ヒロインに舌打ちしないでくださいよーぅ。
そう言い残して、奏先輩は図書室から出て行った。
私はそれでもと、奏先輩の後に続いて図書室を出た。
「なんでなんですかー」
「嫌なもんは嫌なんだよ」
「ピアノ弾いてた奏先輩、カッコ良かったですよ」
そこでくるりと振り替えり
私に軽くデコピンした。
「うるせーよ」