風にのせて君へ


ちょっと待ってくださいよ、と私は奏先輩に続いて音楽室を出た。


奏先輩の少し後ろを歩く私は質問した。



「さっき、何の話ししてたんですか?」


「ん。曲のこととか、色々」


「奏先輩って……」



ん? と振り向いて奏先輩は言った。


そこでたまたま目が合ったので私は首を横に振って言った。



「いや、なんでもないでーす」


「変なヤツ」


「奏先輩ほどじゃないですよ」


「なんだと?」



そう私に言われてキレる奏先輩を見て、私は奏先輩を追い抜いて走り出した。



「逃げんなー!」



と後ろから叫ぶ奏先輩に私は



「だって先輩キレてるじゃないですかー!」



と言い返して、階段を全速力で駆け下りると自分の教室に入った。


運のいいことに、
教室には誰もいなかった。


私は自分の椅子に座ると、机に突っ伏した。

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