風にのせて君へ
その音と同時に、
ピアノの音が止まった。
変わりに聞こえた男の人の声。
「誰?」
え、男の人……?
えーっ!!
あんな綺麗な音を奏でてたのが男?
だって、中学のときの合唱コンクールの伴奏だって女子ばっかりだったし
音楽の先生だって女の先生だったし。
……すごい。
「おい」
その男の人はいつのまにか私の目の前まで来ていた。
その声で顔を上げて、
思わず見とれてしまった。
綺麗な顔立ちに、すらりとした長身。
思わず触りたくなるサラサラな髪。
キ……キレイ。
「……1年?」
雰囲気的に3年生くらいの彼は
眉と眉の間に縦線を入れていった。