風にのせて君へ



雪先輩だ。



この時間には、いつも奏先輩が弾いてたはずなのに……。



あ、そっか。


雪先輩、ピアノ上手いもんね。



奏先輩に弾いてあげてるのかな?


うん、だって奏先輩、雪先輩のピアノが好きそうだったもん。



私は机に突っ伏する。



泣きそ。


そのくらい、上手い。

すんなり耳の中に入ってくる。



「私なんか、敵わないや……」



あのとき、

ピアノを続けていても



私には無理。



ああ、本当、悲しくなってきた。



ほら、

ピアノの音をかき消すみたいに上履きの音がゆっくりこっちに近づいてきて……



「星野?」


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