風にのせて君へ
「……ずっと、俺が弾いてるばっかりだった」
奏先輩の口調は強かった。
「だから、聴かせろよ。お前のピアノ」
私は眉をひそめて奏先輩に反抗する。
「何でですか」
「聴かせてもらったら、ピアノを弾いて返せ」
私は奏先輩にそっぽを向けて
また机に突っ伏した。
「おい」
「……」
早く雪先輩のところに行けばいいじゃん。
私、邪魔者になりたくないもん。
私、気づいちゃったもん。
「いい加減、ムカついた」
そう聞こえたすぐ後に、私の腕が強い力で引っ張られた。
私は驚きすぎて、
声も出なかった。
「来い」
何で?
私とか、どーでもいいじゃん。
私は腕を振って、奏先輩の手を振り払おうとしたけど、
尚更手の力が強まっていった。