風にのせて君へ
奏先輩、やめよーよ。
私、気付いちゃったの。
奏先輩が好きだって。
気付いたときには
もう、失恋してたんだよ?
だから、
遠ざけたくて
これ以上傷付きたくなくて。
そのうち忘れられると思ったのに。
何で奏先輩から会いに来るの?
「来い」
そう、私が絶対断れないことを知っていて奏先輩は言ってくる。
私は視線を逸らしたまま、
答えない。
答え、られない。
答えたら、
きっと奏先輩のこと
もっと好きになる。
このまま返事しなかったら、奏先輩はどっかに行ってくれないかな?
と、心の中で思っていた。
だけど、
思うようにはいかないこと……
ピアノと一緒だね。
「いい加減、ムカついた」