風にのせて君へ
「音楽室で? 何だよ?」
ねえ、
嘘でしょ神様。
理解できない、と言うような表情をしている奏先輩を
私はキッと睨む。
私は奏先輩が理解できない。
嘘でしょ、
もしかして
“コイツ”
あのこと
気づいてない!?
「先輩のバカーっ!!」
私は半ベソ状態で叫んで
逃げ出すように音楽室を飛び出した。
まさか、
奏先輩って鈍感!?
何あれ、
上から目線で
そのくせ
鈍感って!
「バカー!」
廊下を全力疾走しながら
私は大声で叫んだ。
人のいなくなった放課後に廊下で叫んだら、
思ったよりも声がよく響く。