風にのせて君へ
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「本当、バカじゃない?」
星野が出て行って
俺だけが残った音楽室に雪が現れた。
呆れたように腕を組んで
壁に寄りかかる雪。
「……見てたのかよ」
「奏のことだからね。こうなるんじゃないかと思ったよ」
はあ、とため息をついた雪はつらつらと話はじめる。
「2年のとき奏が私に告白してきて、私フッたでしょ?
それがもしかしたら、
トラウマになってるんじゃないかと思って。
案の定、この有様。
……確信はあるのに踏み出せない、なんて。
あのときから、
実は一目惚れだったんでしょ?」
じっとりとした視線で俺を見つめる雪。
俺は雪にそっぽを向いて
子供の言い訳のように言う。
「そっ、んなわけ……」
「バーカ、動揺してるのバレバレ」
「……っんだよ」