風にのせて君へ


「―――えっ!? それって……」



私が振り返って奏先輩を見ると、
今度は奏先輩が私に背を向けていた。


肩がかすかに揺れている。


……まさか。



「何でまた笑うんですかっ!!」


「だって、“ほえ”って……っ」



くくくっ……と声を押し殺して笑いを堪えているつもりなんだろうけど。


笑ってることには
かわりないんだから!



「奏先輩って笑い上戸だったんですね……」



すると、


「お前がツボなだけ」


と返ってきた。


それって、結構恥ずかしい言葉だったりするんですけど。



私に背を向けて、ふーと息をはくと、
くるりと私の方を向く。



「……で、奏先輩はどうなんですか」


「ん?」



いつも以上に優しい声で、そう言われるから。


顔が熱くなっていく。

だって、
ちょっとかっこよかっ……


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