優しい君の、隠れた本音
「昔からそうなんだ。なんか行事があると、俺はいつだって盛り上げ役で、だけどちょっと静かになると、途端に誰からも気づかれなくなってさ」
笹森が、何を言いたいのか分からなくて、私は黙ってスクリーンを見続けた。
「でも、この日は違った。動くのがしんどくて、一人ぼっちの教室で黙って花火が上がるのを待ってたら、いきなりドアが開いて、そんで、ユウナが入ってきたんだよ」
「…!」
それは私も覚えてた。
忘れ物を取りに教室へ戻って、そしたら男の子が一人座っていて…
「『オツカレサマ』って言ってくれただろう?あれ、すっげぇ嬉しかったんだ」
横顔を覗き見ると、その口元が少し上がったのが見て取れた。
…あの時、暗くてよく見えなかったあの男の子は、
笹森だったんだ。
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