粗目―ざらめ―
叶子は、金魚すくいで三匹すくい、ヨーヨー釣りはなんと5つもつり上げた。こよりが丈夫だったらしい。

それから、プラスチックの指輪とネックレスのセットと、林檎飴を買って貰った。
こんな真っ赤な飴を買って貰ったのも初めてだ。いつもはゴウセイチャクショクリョウガ、という言葉とともに却下されるからだ。

嬉しくて、これをお父さんのお土産にしよう、と思った。
リンゴ飴は、きらきら光る宝石みたいだったから。
一番大事で嬉しい宝物。お父さんにあげよう。


ここのところ、ずっと不機嫌な父が優しい顔でくれた二千円を使って、二つ目のリンゴ飴を買った。
ふたつ欲しいなら最初から買ってあげたのに、と母は云ったが、自分でお金を払いたいのだろう、と納得していた。


叶子は、父への土産だとは、なんとなく云えなかった。

母に買って貰ったリンゴ飴は赤いリボンがついている。父に買ったリンゴ飴は黄色いリボン。

間違えないようにしなくちゃ、と思いつつ、おつりと一緒に巾着に押し込んだ。
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