キミに捧ぐ、愛の唄。
4月。
今日から新学期。
新しいクラスに新しい制服。

あたし、鈴宮海砂はいつもより気分がよかった。

なぜなら、兄である鈴宮章と同じ学校に通えるから。

新しい友達。
それができたらええなとも思ってた。

あたしはその頃、まだ自分の想いに気付かないでいた。

気付かないというより、ずっと心の奥底に鍵をかけて、閉じ込めてた。

みんなのために。
自分のために。

自分を、さらけ出すことができんかったから。

あたしはそのあと、ごはんを食べるために1階に下りた。

ちょうど、兄である章も下りてきたころだった。

「あ、海砂。」
「あぁ、兄ちゃん」

「今日、部活ある??」
「ん、あるよ。どした?」
「イヤ、なんでもない…。」

その時、止まっていた関係が動き出そうとしてた。
章兄が何を言いたかったのか、
あたしはなんて言うのか。

そのときはあたしはなにも知らんかった。

「…??ふーん…。」
あたしは、吹部に入っている。
楽器はフルートで、結構実績も残している。

あたしがリビングに行こうとしたとき…。
「海砂!!」

「んー??」

「今日…。なるべく早く帰って来てくれん??」
「どして??」
「…。話があるから。」

なんで、お兄ちゃんがこんな突然にこんなこと言ったのか、今も分かんないけど。

多分、昨日のことがあったからだとあたしは思ってる。
お兄ちゃんの本心は、分からんけど…。








第一章・お に い ち ゃ ん
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