─暴走族のお姫さま─



あの女の子に
出逢ったのは
俺が他の暴走族と
乱闘をして
負けた日だった。



あの日は
雨が降っていて
負けた俺の目からも
涙が降っていた。



他の暴走族が
勝ち誇ったように
バイクをブォンブォンと
鳴らしながら消えていく。


「ちくしょう…っ!」



俺は雨に濡れた
地面を拳で殴って
雨に打たれる中
そっと瞼を下ろした。



その時。



「あの…大丈夫ですか?」


か細いけど
透き通っている
綺麗な声がした。



目を開けると
そこには
可愛い女の子が
心配そうに
俺を見下ろしていた。



女の子の傘のお陰で
雨が顔に降っていなかった。











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