─暴走族のお姫さま─
蘇る記憶──…
────………
───……
「未來!!」
「ん?」
「未來は幸せっ?」
「"幸せ"ってなに?」
「うーん…幸せって
人それぞれだから
未來の幸せはあたしには
わかんない」
奈美とよくこんな会話した。
奈美はいつも俺に
"幸せ?"と聞く。
でもそのころの俺に
"幸せ"なんて
わかんなかったから
いつも聞き返していた。
奈美と初めて会ったのは
雪が降る寒い日だった。
たまたま歩いていたら
小さな女の子が
自動販売機の横に
ちょこんと座っていて
自動販売機から放たれる
薄明かりで照らされていた。
「おい…大丈夫か?」
て俺が言うと
小さな女の子はバッと顔を上げた。
「助けて…っ」
と言って小さな女の子は
涙を流した。