─暴走族のお姫さま─



30分くらいして
奈美がいる部屋を覗くと
奈美は小さな寝息をたてて
寝ていた。



あんなに長いあいだ
寒いところにいて
あんなに泣いて
疲れたにちがいない。



俺はそっと
またドアを閉めようとしたとき。







「──…て」




寝ているはずの奈美が
なにかを呟いた気がした。





「──…待って」






奈美の細い声が
聞こえた。











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