─暴走族のお姫さま─



奈美がいなくなった
俺の腕の中は
空っぽで
奈美のぬくもりだけが
ほのかに残っていた。




「──…っ」




奈美の足音が
聞こえなくなくなった途端に
涙がポタポタて溢れてきた。



涙が出るくらい
好きな人ができた。



初めて愛せる人ができた。



世界の何にも
変えがたい人ができた。




でも愛する人の
笑顔には
幸せには
変えられないから














俺は大切な人を手離した──…











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