─暴走族のお姫さま─
ただ黙って
目を瞑った。
しばらくすると
女の子は
「よし」
と言って
納得したように微笑んだ。
俺は黙っていた。
俺の手当てが終わると
女の子は俺の仲間を
みんな手当てしてくれた。
いろんな人を
手当てするたび
「大丈夫ですか?」
「痛かったら
すみません」
と言って
みんなを
手当てし続けた。
そしてみんなの
手当てが終わると
俺の元に来て
「気をつけてくださいね」
と言うと
ニコッと微笑み
傘を俺の顔の近くに置き
立ち去ろうとした。
俺はとっさに
女の子を目で追い
話しかけてしまった。
「おいっ」
女の子はクルッと
振り返って
「はい?」
て首を傾げた。
「名前…なに?」