─暴走族のお姫さま─



お兄ちゃんの心を考えると
すごく胸が痛くなる。



でも



もっと痛いのは
お兄ちゃんが言った
"違う男"はきっと…
ううん、絶対に未來のことだ。



それがすごくすごく
苦しくて認めたくなくて
未來にたいする想いが
溢れだしそうになった。



「奈美を手放して3月くらい
経ったときに
どうしても抑えきれなくなって
奈美に電話した。
奈美がすごい勢いで
電話に出たときは
男のくせに泣いちまったよ」



「──…っ」



「ただ奈美の声聞けただけで
『逢いたい』ってしか
言えなかった…
奈美は電話越しで泣きながら
『やっと声聞けた…っ』
って俺に言った」



お互いに好きで



離れてもその想いは変わらなくて



まだ愛し合っていて



未來の想いは
一方通行になって



みんなが幸せには
なれなくて



どうして恋は
こんなにも
難しいのだろう。











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