─暴走族のお姫さま─
「今度から気をつけてね」
と俺が言うと
女の子は
「はいっ」
と言った。
そんな元気に返事をする
菜奈を見たら
『汚れた世界に
菜奈を入れちゃいけない』
とそう改めて思った。
でも俺の思いは
自分で思っていたより
強かったみたいで
「全然変わってない」
と口に出ていた。
そんな呟きが菜奈には
聞こえてなかったみたいで
「えっ?」
と首を傾げた。
そんな仕草さえにも
可愛いと守りたいと
思ってしまう。
「いや、何でもない。
家は近いの?」
もし遠かったら
送ってあげよう。
そう思い聞くと
「あっ、はい!!
あと直ぐの所です」
と言われたので
「またな」
と言った。
また会いたい。
そんな想いを
込めた『またな』
そしたら菜奈は
ニコッと笑って
「はい、また」
と言ってくれた。
その時俺は
また絶対に
会えると思った。