─暴走族のお姫さま─
「奈菜にどうしても
会いたいんっやって」
「だれ…ですか?」
「奏…なんやけど」
──ドクン…ッ
奏って…
あの奏…だよね?
「いやっ」
あたしは直ぐに
昴さんに言った。
イヤだよ…
今会ったら戻ってきてって
言われるに違いない。
今そんなこと言ったら
心が揺れちゃうよ。
そんなあたしに昴さんは
ゆっくりと近づいてきて
優しく抱き締めた。
自然と嫌じゃなかった。
だってわかったから。
昴さんは恋愛感情とかじゃなくて
勇気づけるような
そんな優しい腕だったから。