─暴走族のお姫さま─



「奈菜…
このままでええんか?」



このままでいい?



イヤだよ…



いいはずなんてない。



こんなに時が
経つのに
いつもみんなの顔しか
浮かばない。



あたしは首を
横に振った。



「あのな…奈菜。
俺、前に総長やっとたこと
あるって言ってたやん?
俺が総長してたチームって
GOLD DRAGONやねん」



「え…?」



「ほんま偶然なんや。
昨日奏から電話きて
『奈菜って子を探してる。
どうしても見つけなきゃ
ならないんです。
なので、南谷さんの力を
貸してもらえないっすかね?』
って電話が来たんや。
んで、よく話聞いたら
奈菜は未來と
付き合っとるらしいやん?
未來が今、必死に
探しとるんやって。
朝晩関係なく
ずっと探しとるんやって。
奈菜だけを」



胸が痛い。



バカだ、あたしは。



未來があたしを探してる。



それを聞いて
すごく期待してる。



また笑い合えるかもしれない。



でも、
また傷つくかもしれない。


「奈菜、会おう?
大丈夫や。
奏だけ来るから。
な?」



あたしは昴さんに
見つめられて
なぜか自然に
頷いていた。











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