─暴走族のお姫さま─
次の日。
あたしは
特に慌てるわけでも
怯えるわけでもなく
ただ黙って座っていた。
でも、たまに
時計をチラッと見たりして
ある意味緊張していたのかも
しれない。
昴さんが
気遣うように
あたしに時々
話しかけてくれた。
そのたび少しずつ
リラックス
できているような気がした。
「しかし奈菜は
ほんまチビやなぁ〜」
「あぁっ、昴さん酷い!!
気にしてるのに〜っ」
「あははははっ」
「もうっ」
そんな会話をしている時だった。
──ピンポーン…
ビクッ
体がチャイムの
音に反応して
ビクッと跳ねた。
チャイムが鳴った瞬間
あたしと昴さんは
急に静かになった。
昴さんが立って
「奈菜、ええな?」
って確認してくれた。
あたしは小さく
頷いた。
昴さんが
玄関に向かおうと
進めた時、
とっさに昴さんの
腕を掴んだ。
あたしが
何とも言えない
表情で昴さんを見上げると
「奈菜…大丈夫や。
さきに少し奏と話すから
奈菜は部屋で待ってな」
そう言った昴さんに対し
あたしは小さく頷いて
部屋に入った。