─暴走族のお姫さま─
─汚れた世界─
□奈菜side□
「あっ、もしもし!?柚希!?」
あたしはあれから
家に帰ってきて
すぐに柚希に
電話報告していた。
"わかったから
奈菜、落ち着いて?"
「もうこれは運命だよ!!」
単純なあたしは
さっきの男の人が
運命だと決めつけていた。
だって
そうであってほしい。
なぜかあの男の人に
また会いたいと
思っている
あたしがいる。
"いったい何があったの?"
「あのね、あのねっ!!」
────………
───……
あたしはさっき
起こった出来事を
柚希に全て話した。
すると柚希は
"まじ!?すごい!!
あたしも運命だと思う"
と言ってくれた。
「でも名前知らない…」
そう。
いろいろあって
あたしは名前を聞くのを
すっかり忘れていた。
助けてもらったのに
名前も聞かないなんて
あたしは何をしてるんだろう…
"大丈夫だよ。
世間は狭いから
きっとまた会えるよ"
会いたい。
あたしも柚希の言葉を
信じることにした。