─暴走族のお姫さま─



「奈菜!!」



俺の声が
溜まり場に響くと
奈菜が涙を溜めた目で
俺を見た。



3ヶ月の月日が経った
奈菜は痩せていて
弱々しく震えていた。



俺は迷わず
抱き締めた。



泣くなよ



悲しそうな顔すんなよ



ギュッと力強く
抱き締めた。



奈菜は小刻みに震えて
泣いているみたいだった。



でも奈菜はゆっくりだけど
俺の背中に腕を回して




「…ごめんなさい…」



と言った。



謝んなよ。



胸が痛くなる。



笑って。



いつもみたいに笑って──…












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