─暴走族のお姫さま─
車に乗ろうとしたら
壱真が俺の後ろ姿に
話しかけた。
「いいのかよ?これで」
「……」
「後悔…しねぇのかよ?」
「…後悔なんか
たくさんしてきた。
慣れてる」
「……」
「奈菜からは
もう溢れるくらいに
幸せ貰ったから大丈夫」
「お前が選んだ道がなーを
悲しませることになるかも
しれない」
「…んなことはねぇ。
奈菜は幸せになれる。
そういう子だってことは
お前が一番わかってんだろーが」
「…あぁ」
「じゃあ、頼んだ」
「……」
俺は振り返らずに
車に乗った。