─暴走族のお姫さま─



「…未來」



叶が話し掛けてきた。



「…なんだよ?」



「いいのかよ…」



「いいって何が?」



平静を装う。



本当は今すぐにでも
抱き締めて



前みたいに
奈菜の笑顔が見たくて



想いだって
溢れ出しそうなのに。



「奈菜…寂しがるぞ」



「そんなことわかってる」


「じゃあなんで──…っ」



「どうしようもねんだよ!!」











俺の声だけが
溜まり場に響いた。












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