─暴走族のお姫さま─



全部



全部



思い出した。



「…未來…」



あたしは部屋を飛び出して
下に行った。



下ではお兄ちゃんと優真が
ソファーに座りながら
テレビを見ていた。



「お兄ちゃん!!あたし…」



お兄ちゃんはあたしを見て
立ち上がるとあたしを
ギュッと抱き締めた。



「バカがっ!
どんだけ心配したと
思ってんだよ…」



「ごめ…あたし…ごめんなさい。
あの…あたし…その」



GOLD DRAGONに行って…



その後…



その後がわからないの…



あたし…



どうやって
家に帰ってきたの?



いつの間に
帰ってきたの?



わからない



わからないよ──…



その時。



お兄ちゃんが
ゆっくりと口を開いた。












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