─暴走族のお姫さま─
あたしが
コクンと頷くと
「汚れた世界だ」
とはっきり
未來さんが言った。
わかっていたけど
実際に聞くと
怖くなってくる。
「怖いよね」
と言って
苦笑いした。
でもあたしは
未來さんの苦しそうな
顔が見たくなくて
「…いい暴走族も
いると思います」
「え?」
未來さんはあたしの
言葉にビックリしていた。
当たり前だ。
普通の子なら
暴走族なんて聞いたら
怖がって軽蔑するだろう。
でも、どうしても
あたしには未來さんの
暴走族が悪く思えない。
あたしは未來さんを
見つめた。