─暴走族のお姫さま─
恐らくあたしを追いかけて
駆けつけてきたであろう
柚希があたしを抱き締めて
「奈菜…帰ろう」
「…いやっ」
離れたくないよ。
まだ未來が
戻ってきてくれるかも
しれないなんて
バカげてる。
「奈菜…」
「あたしだけだったの…っ?
こんなにも…っ
未來…を好きなのは
あたしだけだったの…?
離れてもずっと…ずっと…
想い続けてたのは…っ
あたしだけだったの?」
「……」
「あたしだけだったの…?
ねぇ…あたし…っ
どうしたらいいの……?
わかんない…っ
わかんないよ──…っ!」
「奈菜…」
全部
全部
あたしだけだったの?
胸が痛くて
張り裂けそうで
今すぐにでも
未來を追いたくて
「うわぁ──…っ」
その時。
「奈菜ちゃん…」
奏の声が聞こえた──…