─暴走族のお姫さま─
どこに向かってるかなんて
わからなかった。
目の前も涙で滲んで
転びそうだった。
でも未來の顔だけは
はっきりと頭に映っていた。
────………
───……
しばらく走って
あたりを見ると
知らないバーやら
小さな店が
点々とあった。
あたしはフラフラと
適当に歩いていたら
若い男の3人とすれ違った。
すれ違った男たちが
なにやらあたしを見て
何かを話していた。
聞きたくなくても
耳に入ってきた
男たちの会話。
「なぁ…あれって
鬼頭の女じゃね?」
うるさい
「なんでここにいんの?」
うるさい
「てか、いいもん見つけたな」
うるさい…っ
そう思って
振り返った時だった。
──ガツッ…
頭に鋭い痛みが走った。