─暴走族のお姫さま─



「抱き締めて…いい?」



俺は今すぐにでも
奈菜を抱き締めて
安心させたかった。



奈菜はコクンと頷いた。



俺は座り込んでいる
奈菜に合わせてしゃがむと
優しく抱き締めた。



抱き締めたとき
奈菜がビクってなった。



俺が抱き締めても
奈菜は抱き締め
返してこなかった。



「奈菜…ごめん」



いつもの奈菜の香りは
しなかった。



かわりに
血の鉄っぽい臭いがした。










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