─暴走族のお姫さま─
あれから奈菜の友達だけ
出てきて救急車を呼んだ。
救急車には奈菜と
奈菜の友達だけがのった。
看護師が
「こういう場合は
女性だけのほうがいいので」
と言ったから。
俺たちは溜まり場に戻ってから
バイクで病院に向かった。
奈菜の兄貴の壱真や優真にも
連絡がいったのか、
病院につくと
息を切らした
壱真と優真もいた。
「しばらく検査するので
ここでお待ちください」
と看護師に言われ
俺たちは待った。
「…すまなかった」
俺は壱真と優真に謝った。
「てめぇっ!!
ふざけんな!!」
優真は俺を殴ろうとした。
殴って。
それで罪が
消える訳じゃないのは
わかってる。
でも
いっそ殴られた方が
いいから。
そう俺とは裏腹に
「優真、やめろ」
と言う壱真の声が
間に入ってきた。