─暴走族のお姫さま─
「確かに子どもは欲しい」
──ズキン…ッ
【……】
「けど、奈菜を失なってまで
欲しいものなんか何もねぇ」
【……っ】
「だから、泣くな」
そう言う未來の声は
あたしの心を満たしてくれた。
【…っ…
でも…っ
あたしたちの夢が
叶うことはもうない…っ】
「……」
【子ども…産みたい…
産めないのはわかってる…。
でも…夢だったの】
「奈菜…」
ガラス張りの向こうに寝ている
赤ちゃんたちはキャッキャッと
手足を動かして笑っていた。