桜、ふわふわ 2nd season
「それ、ちゃんと走るの?」


マサの質問にオレは答える。


「さぁ。どうやろ? まだ遠出してへんし。あ……でも、急な坂道とかはエアコン切らな走らへん」

「それ、ダメだろっ!」


またみんながドッと笑った。


「あほぉ。そういうとこがええねん。なんか愛着わくっつうか……」

「そういえばさぁ」


マサの隣に座っている、みどりちゃんがオレの言葉を遮る。


「男の人の車って、どんな車に乗ってるかで、好きなタイプの女の子がわかるって言わない?」

「あー。それ、聞いたことあるー」

「そうそう。機能性か見た目、どっちを重視するのか? とかね」


急に女子達のテンションが上がる。


「えーじゃあさ。イッペーは何? 古い車が好きってことは、つまり”熟女”趣味ってことー?」

マサの言葉にまたみんなが笑う。


「もう勝手に言ってくれ」


オレはグラスを手に取りビールを口にした。


「違うでしょ?」


リカちゃんがオレとの距離をさらにつめて、こちらをじっと見つめてくる。

上目づかいで。


「手のかかる子が好きってことなんじゃないかなぁ? もしくは、手に負えないような女の子に振り回されるのが好き……とか?」


「ゴホッ……ゴホッ……えっ……」


思わずむせてしまった。


「ごめっ……ちょ、トイレいってくる」

「あ……逃げた」


背後でみんなの笑う声が聞こえる。

当たらずといえども遠からず?


リカちゃん、意外に鋭いな……なんて考えながら、オレはトイレに向かった。
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