モテ系女子のススメ
 


小林くんは、わたしの名前なんて知らなかったんじゃないかな?


一度も名前を呼ばれたことはない。


クラスも違った。


ヤンキー男子だった小林くんは目立っていたからわたしは知っていたけど、わたしは普通の女の子だった。


でも同じ学校の女の子だってことは知っていたんだと思う。


次の日わたしのクラスまで来てくれた小林くんは言った。


「おい泣き虫。もう大丈夫か?」


「あ……小林くん、昨日はありがとう」


「今日は泣いてなくて安心した」


「普段は『泣き虫』じゃないもん」


「嘘ばっか」


そう言って小林くんは笑いながら帰っていった。




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