旦那様は社長

だけど、ふと我に返る。


「い、イヤ‼」

「イヤじゃないだろ?お前はオレのなんだから」

「いつなったって!?」

「だって嫁じゃん」


まだ言うつもりなのか‼

おまけに。


「ちょっと!いつもどさくさに紛れてどこ触ってんの!?」


忙しく活動する手。


「これは男の本能ってやつだ。お前がそんなイヤらしい身体してんのが悪い」


「あんた!あたしにケチつける気!?」


「褒めたつもりだけど」


あたしの手首を両手で掴んで動きを封じようとする社長。


「ありがたく思えよ。お前は誰もが羨む夫を持つセレブに成り上がったんだ」


開いた口が、更に裂けそうになるくらい広がる。


あんた、一体何様……。


「社長」

「……は」

「何様って今、思っただろう?」


思ったよ。

思ったけど……


「勝手に人の心読むなんて、最ッ低ーー!!」


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