旦那様は社長

ソファーにゆっくり身体を倒され、頭を撫でられる。


「無理しなくてもう帰ってもいいぞ?」

なんて、社長らしくない優しい言葉も降ってくる。


弱っているからか、優しさがジーンと胸に染みて涙がジワッと目尻に溜まってきた。


「オレにうつすなよ」


涙が、ただの目の潤いに変わる。


前言撤回。


「あたしの感動を返してよ……」

「は?」


やっぱり社長は、いつだって自己中な男だ!!


「会議に支障を来すほどではありませんのでご安心下さい」


ぜったい帰ってやらない。


あたしはあたしの考えがあるんだから。


自分の限界は自分で決める。


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