旦那様は社長

それから会議までの時間はひたすらデスクワークに励んだ。


今立ち上がると、倒れてしまう自信がある。


「葉山くん……葉山くん……おい、光姫ッ」

「え?」


気付かなかった。

ずっと社長があたしの名前を呼んでいたことに。


「お前さ、本当に大丈夫か?」


「それより社長、会社で名前で呼ばないで下さい」


慣れない。

社長に“光姫”と呼ばれること。


慣れるというより、普通でいられなくなる。


だってドキドキしちゃうんだもん。


だからってこれが“恋”だなんて認めないけれど。


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