旦那様は社長

だけど気付いてしまった。

昨日は1つだった赤い痕が、今はその数が何倍にもなってしまっていることに。


最初から飛ばしすぎでしょう!!


だんご虫みたいに丸まっていると、社長がペラッと布団をめくった。


「み、見ないでよ!!」


もう恥ずか死ぬッ!!


記憶がないことが何よりも怖い。


一体社長にどんな醜態を晒してしまったのか。



「お前、身体はどうだ?」


穏やかな声とともに頭を撫でられた。


「別にどこも……痛くないけど」


正直に答えると、社長が再び大口を開けて笑った。


もう、どうとでもなって……。


今更取り繕ったところで、過去は取り戻せないのだから。


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