旦那様は社長

「お前、まんまと騙されんなよ」

「騙される?」

「ウソだから」

「……は?」


どこからがウソ?何がウソ?


「何もしてねーよ。まだオレたち」

「え、じゃあ」


どうしてあたしは何も身に纏っていないのだろう。


「服はオレが脱がせた。苦しそうだったし、汗かいてたから身体も拭いた」


お礼を言うべきなのは分かっているけれど、素直に言葉にならない。


それが善意からだとしても、やっぱり恥ずかしいから。


「ビックリしたよ。本当に目の前で人がぶっ倒れるなんて、初めての経験だった」


「ご、ごめん」


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