旦那様は社長

「ねぇ。とりあえず服……着ていい?」

「ん?ああ、そうだな」


社長が勝手にあたしのクローゼットを開けて、パジャマを取り出す。


『勝手に開けないでくれる!?』

って怒りたいところだけど、まだ身体がだるくて起き上がるのが辛いので、その言葉はググッと胸の奥に押し込めた。


社長はパジャマを手渡しながら言った。


「なんならそのままでもいいけど」


「冗談でしょ!!風邪がますます悪化しちゃうじゃない」


どのみち既に社長に全てを見られてしまっているのだけれど、やっぱり見られるのは恥ずかしいから社長に背を向けた。


「うーん、後姿もなかなかソソル」

「ば、バカッ!!」


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