旦那様は社長
パジャマに着替え、もう一度ベッドに横になると、社長があたしのおでこに自分のおでこをピタッとくっつけた。
「んー、やっぱ少し熱っぽいな」
「さっきよりは下がったか?」とブツブツ独り言を言いながら、社長が用意したものなのか、ドラッグストアの袋から冷えピタを取り出し、あたしのおでこに貼り付けた。
「……」
「何だよ?」
「うん。普通は体温計で熱、計らないかなって」
おでこ同士をくっつけて熱を確認してたのは、遠い遠い昔。
あたしがまだ幼稚園に通っていた時だった気がする。
そんな仕草をこの年になって、それも社長にしてもらうとは思いもしなかった。