旦那様は社長

パジャマに着替え、もう一度ベッドに横になると、社長があたしのおでこに自分のおでこをピタッとくっつけた。


「んー、やっぱ少し熱っぽいな」


「さっきよりは下がったか?」とブツブツ独り言を言いながら、社長が用意したものなのか、ドラッグストアの袋から冷えピタを取り出し、あたしのおでこに貼り付けた。


「……」

「何だよ?」

「うん。普通は体温計で熱、計らないかなって」


おでこ同士をくっつけて熱を確認してたのは、遠い遠い昔。


あたしがまだ幼稚園に通っていた時だった気がする。


そんな仕草をこの年になって、それも社長にしてもらうとは思いもしなかった。


< 161 / 334 >

この作品をシェア

pagetop