旦那様は社長
「何よこのキッチン‼」
「はぁ?」
「はぁ?じゃない!どうしたらこんなにグチャグチャにできるわけ!?」
もうワケが分からないほど、キッチンが荒れている。
「どうやったら……こんなになるわけぇ……?」
朝の貴重な時間に、キッチンの大掃除なんて……。
「料理したことないって言ったろ?」
「料理以前の問題だと思わない!?」
昨夜はあんなに感謝したっていうのに、これを見たら感動も薄れる。
「まぁ、後は宜しく」
「ちょっ、手伝ってよ‼」
ーーパタン。
虚しく響く、ドアの音。
「……ッ……ッく……」
あたしは病み上がりのフラつく身体で、泣きながら後片付けに追われた。
もちろん、社長は手伝ってはくれない。
「なんで、あたしが……こんな目に……」
また頭がクラクラしてきた。
「社長のバカーーッ‼」