旦那様は社長

完全にふて腐れた社長は、バサッと新聞を広げて顔を隠した。


絆創膏が貼られた、社長の右人差し指を見てハッとする。


思い出した。

社長に看護(?)された日の翌日、社長の手に4箇所、絆創膏が貼られていたことを。


慣れない料理をしたせいで、火傷や切り傷をしてしまったのだろう。


「……」


もうあれから1週間が経とうというのに、人差し指の傷がまだ……治っていないんだ。




「……もういいよ」


そんな社長に怒っている自分が恥ずかしくなった。


「そ?ならいいけど」


新聞から顔を上げた社長に、ニコリと微笑んだ。


「それより珍しいね。週末、こうして家にいるなんて」


こうして一緒に食卓で食事をするのも、結婚して初めてのことだ。


「ん?あぁ、今日はな。……明日は早くから出かけるけど」


『それって女?』


って聞きたいけど止めた。


歯切れの悪い返事だったから、聞かないほうがいい気がした。


食器を片付けようと社長のお皿に手を伸ばした時、

「今日は暇なわけ?お前」

「え?」


「今日は一日、お前に付き合ってやるよ。この前の侘びに」

と、腕を掴まれた。


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