旦那様は社長
「だけどせめて指輪くらいって思ってさ。作らせたんだ」
「じゃあ、コレ……」
「オレがデザインした。お前をイメージしながら」
照れ隠しなのか、
「オレってホント、何でもこなせる男だよなぁ」
なんて、目を逸らして社長が笑う。
嬉しくて涙が止まらなくなった。
指輪をもらったことだけじゃなく、あたしのためにと、あの社長が行動してくれたことが嬉しいんだ。
「なんで泣くんだよ。そんな泣くほど感激することか?」
左手の薬指に指輪を通されて、そのまま抱きしめられた。
「言ったろ?お前はオレのだって」
「……違うもん。あたしは、モノなんかじゃない」
この人と一緒にいたい。
ずっとこのまま、社長の側で……。
だけどまだ、全てを社長に委ねられない。
解決しなきゃいけないことがある。
「社長」
「ん?」
あたしの気持ち。
全てさらけ出してもいいですか?